英語字幕の活用

映画字幕で英語学習! Casablanca 『カサブランカ』

今回取り上げるのは、第二次大戦中の1942年に制作された名画『カサブランカ』(Casablanca)です。イングリッド・バーグマンとハンフリー・ボガートの名演技が見ものです。映画中の音楽、As Time Goes Byもこの映画の魅力を増幅しています。

映画の舞台は、ドイツのヴィシー政権の支配下にあったフランス領モロッコのカサブランカ。ここで繰り広げられる男女のロマンスが主題になっています。ドイツの侵略を受けたヨーロッパの人々が、アメリカへの亡命を求めて、カサブランカに滞在していました。

ストーリー

カサブランカで人気の酒場を経営しているアメリカ人男性のリック(ハンフリー・ボガート)は、かつての恋人イルザ(イングリット・バーグマン)と、彼の酒場で再会します。

イルザが夫のラズロとともに、リックの店にやってきます。イルザはピアノ弾きのサムとはパリ以来の知り合いでした。リックがサムをパリから連れてきたのです。

A lot of water under the bridge.
(いろんなことがありましたからね。)

イルザはサムを自分の席に呼び、再会を喜びます。

Ilsa: It's been a long time.
Sam: Yes, ma'am. A lot of water under the bridge.

 

as time goes by 時の過ぎゆくままに

あまりにも有名な音楽ですね。イルザがサムに所望した、サムとの想い出の歌です。サムはイルザがリックと会うのを嫌がっていましたが、イルザの熱望に負けて、、想い出の曲 As Time Goes Byを弾くのでした。ちょうどそのとき、リックが店に戻ってきます。

リックは、元恋人イルザの突然の訪問に驚きます。しかもイルザはレジスタンスの夫ラズロと同伴です。彼らが帰ったあと、リックはやけ酒を飲み、サムの弾く As Time Goes Byを聴きながら、イルザとの楽しかったパリでの生活を思い出していました。(舞台はパリへ)

Here's looking at you, kid.
(君の瞳に乾杯)

パリで、リックとイルザはひとときの幸せな生活を送っていました。お互いの過去は知らないままに。リックがシャンパンを抜き、イルザとグラスで乾杯するシーンです。リックが発する乾杯のことばは、あまりにも有名です。日本語訳も「名訳」として受け継がれています。

Here's looking at you.というのは、「乾杯」という意味があります。lookingにアクセントをつけるのが普通です。それをリックはHere's looking at you. と、youにアクセントをつけています。これは、リックのイルザに対する愛情表現だったと考えられます。"kid"とは、イルザのことで、これもイルザに対する愛情の印とみなすことができます。リックの発したこの言葉は、イルザへの深い愛情と二人の味わった至福の瞬間を縮約したメッセージとみなすことができるでしょう。

Rick: Who are you really? And what were you before? What did you do, and what did you think?
Ilsa: We said no questions. (聞かない約束よ)
Rick: Here's looking at you, kid.

 

(from the movie "Casablanca")

 

この名台詞は、映画の最後にも登場します。まさに殺し文句ですね。

That's too far ahead to plan
(そんな先のこと、分からないわ)

ドイツ軍がパリに迫り、パリは陥落寸前でした。リックはイルザに、あす朝5時にマルセイユから脱出しようと言いまました。さらに、マルセイユで結婚式をあげようと提案します。イルザは困ったように「そんな先のことは計画できないわ」と答えをはぐらかします。

Rick: Why don't we get married in marseille?
Ilsa: That's too far ahead to plan.
Rick: Yes. I guess it is too far ahead. (そうだね。まだ先の話だね)

 

(from the movie "Casablanca")

"That's too far ahead" というセリフは、それ以前にリック自身が使っています。酒場で女性との関係を精算するときに使っています。今度は立場が逆転しています。揺れ動く女性の心理が表現されています。リックは、まさかイルザが結婚しているとは露とも知りません。イルザは、そのことをリックに打ち明けることはできませんでした。翌朝、マルセイユ行きの列車にイルザは現われませんでした。

再びカサブランカで再会したとき、イルザはレジスタンスの闘士である夫のラムザと一緒でした。二人はレジスタンス活動のため、アメリカ行きを望んでいました。それには通行証が必要です。リックは、たまたま有効な通行証を持っていました。

リックは苦悩の末、通行証をラズロとイルザに与え、彼らが無事に飛行機でリスボンに向けて出発するのを助けます。

Maybe not today, maybe not tomorrow, but soon and for the rest of your life.
(今はよくても、いつかきっと後悔することになるよ)

霧に包まれた飛行場でのラストシーンで、リックはイルザに別れの言葉を告げます。それは、(二人の愛という)私情よりも(ドイツへのレジスタンスという)大義のために二人を行かせようという彼の固い決意でした。

Rick: Inside us we both know you belong with Victor. You're part of his work, the thing that keeps him going. If that plane leaves and you're not with him, you'll regret it. Maybe not today, maybe not tomorrow, but soon and for the rest of your life.
Ilsa: But what about us?
Rick: We'll always have Paris. We didn't have -- We'd lost it until you came to Casablanca. We got it back last night.
Ilsa: When I said I would never leave you.
Rick: - And you never will. But I've got a job to do, too. Where I'm going, you can't follow. Ilsa, I'm no good at being noble. But it doesn't take much to see that the pproblems of three little people don't amount to a hill of bean in this crazy world. Someday you'll understand that.
Rick: Now now. Here's looking at you, kid.

リックからイルザへの最後の慰めの言葉は、やはり「君の瞳に乾杯」。イングリッド・バーグマンのうるんだ瞳がひときわ印象的でした。

(from the movie "Casablanca")

 

(from YouTube)
ジュリアン・コーネル ニューヨーク大学教授は、「カサブランカ」がなぜ偉大な映画なのか、その理由を次のように語っています(YouTubeより)。

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