英語字幕の活用

映画字幕で英語学習!『ユー・ガット・メール』

『ユー・ガット・メール』 You've Got Mail

今回取り上げるのは、1998年に公開されたアメリカ映画『ユー・ガット・メール』です。残念ながら、Netflixではまだ配信されていません。BlueRay版の英語字幕を使って、英語学習をしていきたいと思います。

("You've Got Mail" 予告編)
この映画は、eメールのサービスがまだ始まったばかりの1998年に公開された、メールで恋が育まれるというロマンティック・コメディです。主演は、『めぐり逢えたら』(Sleepless in Seattle)で共演をしたトム・ハンクスとメグ・ライアン。当時アメリカでもっとも人気のあったメール・サービスは、「アメリカ・オンライン」(America Online : AOL)。メールが届いていると、「メールが来ています」(You've got mail)とアナウンスしてくれました。ハンドルネームで登録できるため、見知らぬ同士のコミュニケーションのツールとして、人気を博していたのです。

主人公のキャスリーン(メグ・ライアン)は、ニューヨークの街角 (just around the corner)にある昔からの小さな本屋さん。もう一人の主人公は、これも同じニューヨークに住む、大型書店チェーンの御曹司、ジョー・フォックス(トム・ハンクス)。二人は、互いの名前も住所も職業も知らず、eメールを通じての「メル友」(mail friend) になります。二人とも、パートナーがいるのですが、eメールを通じての楽しいやりとりに夢中になっています。連れ合いが留守の時を見計らって、こっそりとメールの交換をするうちに、次第に惹かれ合っていくのでした。

My breath catches in my chest 息をとめる

メールが届くときの、ワクワク感を表現したことばです。

 I go online, and my breath catches in my chest until I hear three little words: You've got mail.
キャスリーンは、店員に問い詰められて、メル友の件を告白します。

Infidelity  不貞、不義、背信行為

 Is it infidelity if you're involved with someone on e-mail?
(eメールの交換も浮気したことになる?)

(from "You've Got Mail")

Get lost in something (...)に夢中になった、熱中した

ジョー宛のメールの中で、キャスリーンは『高慢と偏見』の小説を200回くらい読み返した、と書きました。ジョーは『高慢と偏見』を自分でも読んでみました。キャスリーンが小説中で特に魅了された言葉は、、、

 I get lost in the language. Words like: "Thither" "Mischance" "Felicity". I'm always in agony over whether Elizabeth and Mr. Darcy are going to get together.
Thither  (古)向こうに、あちらに
Mischance  不運
Felicity  幸運、至福
in agony over something   ...に苦しみもだえる

fold  倒産する、店を閉める

ジョー親子の経営するFOXブックストアが、キャスリーンの店のすぐ近くにオープンしました。安売り店の進出で、キャスリーンの本屋は倒産の危機に直面します。店員は失業を心配し、友人のミランダは応援を約束します。

店員:What if we have to fold? I'll never find another part-time job.

キャスリーン:We are not going to fold.
ミランダ:You can count on me for anything. Support, rallies, picket lines. (どんなことをしてでも応援するわよ)

down-to-earth  (人・態度などが)さばけた、気さくな、飾り気のない

ジョーとキャスリーンは、出版関係者のパーティで偶然出会います。そこで、キャスリーンは、ジョーが商売敵のフォックスであることを知り、愕然とします。一方、キャスリーンのパートナーのフランクとジョーのパートナーのエレンは意気投合します。その夜、ベッドでエレンはジョーに、フランク・ナバスキーを「気さくな男だ」(down-to-earth)と褒めちぎります。

I had no idea Frank Navasky was going to be so down-to-earth. You read his stuff. You think he's going to be so obcure and abstruse.

(フランク・ナバスキーって、あんなに気さくな人だったとは知らなかったわ)
obscure  分かりにくい
abstruse  難解な

Go blank   (頭の中が)真っ白になる

その夜、ジョーとキャスリーンは、眠れずにパソコンのメールに向かいます。ジョーは自分が後悔で最悪の状態にあると書くと、キャスリーンは自分も怒りで我を忘れて、頭が真っ白になってしまった、と返します。
What happen to me when I'm provoked is that I get tongue-tied. My mind goes blank.
provoke  怒らせる
tongue-tied  (緊張・恥ずかしさで)口ごもった、舌がもつれた
go blank  (頭の中が)真っ白になる、ぽかんとする
それまで匿名のメールでやりとりをしていたジョーとキャスリーンは、ついに会うことになりました。ジョーンが We should meet. と書き、お店が窮して落ち込んでいたキャスリーンがこれに同意したからです。待ち合わせの場所はカフェ、時間は午後八時。ジョーが行ってみると、驚いたことに、メールの相手は商売敵のキャスリーンでした。キャスリーンはジョーがメールの相手であること気づいてはいません。ジョーが店に入り、彼女の席にかけよとうとしても、キャスリーンは断り、立ち去るよう言います。そして、ジョーと口論になり、ジョーの悪口をまくし立てます。

delude oneself that ...    勘違いして....と思い込む

You've deluded yourself that you're a benefactor bringing books to the masses.

(あなたは大衆に本を届ける後援者だと思い込んでるだけなのよ)

(from "You've Got Mail" )

suit (インフォーマル)(会社の)お偉いさん

 You are nothing but a suit.
(あなたは、ただのお偉いさんよ)

キャスリーンは、さらにたたみかけてこう言いました。この言葉はジョーにはこたえたようで、「分かった」といい、その場を立ち去ります。

stand someone up
(インフォーマル)(人に)待ちぼうけを食わせる、(恋人)とのデートをすっぽかす

これはよく使う表現なので、覚えておきましょう。キャスリーンが待ちぼうけを食らわされた翌日の会話です。

Kathleen: He never came.
Shopgirl: He stood you up.
Kathleen: I wouldn’t characterize it that way. I think something happened.

キャスリーンは店を閉め、失意の底にありました。ジョーは意を決して、キャスリーンの好きなデイジーの花束をもって彼女の家に行きます。

break up with someone (恋人)と別れる

このことばは、映画ではよく出てきますね。とくにアメリカ映画には。キャスリーンもジョーも、同棲していた恋人と別れ、いまは一人で暮らしています。ジョーンがキャスリーンのアパートで再開したのは、そんなときでした。

break up (結婚などが)破綻する
break something up (グループなどが)解散する

Kathleen: When did you break up?
Joe: Couple of weeks ago.
Kathleen: Everyone is breaking up. You. Me.
Kathleen: This person I know broke up with someone in an elevator.

bring out the worst in somebody (人)の最も悪い面を引き出す

ジョーは、ベッドに横たわり思わず悪口を言いそうになるキャスリーンの口に手をあてて、こう言います。

 I can see I bring out the worst in you. Let me help you to not say something you’ll torture yourself about for years to come.
(from “You’ve Got Mail”)

(from "You've Got Mail")

この言葉を聞いたとき、キャスリーンは初めて、ジョーがあこがれのメル友その人かもしれないと気づいたのです。本映画でもっとも感動的な場面の一つです。

prosaic /proᴜzéɪɪk/ ありふれた、平凡な

その後、二人のメル友は「会おう」ということで一致しますが、すぐにというわけではありませんでした。けれども、ジョーとキャスリーンは友達としてしばしば食事を共にし、謎のメル友(ハンドル名NY152)について推測し合います。

Joe: So, what’s his handle?
Kathleen: All right, N-Y-1-5-2.
Joe: He has 152 moles removed.
Kathleen: The number of people who think he looks like Clark Gable.
Kathleen: His address. No, he would never do anything that prosaic.

mole (n.) ほくろ

Allow me ボクが払うよ

キャスリーンは街角のお店で花を買います。隣にいたジョーは、「ボクに払わせてくれよ」といって、彼女におごります。

Joe: How many?
Kathleen: Three.
Joe: Allow me.
Kathleen: Thank you.

Allow meとは、「おごるよ」というのを、少しフォーマルに表現した言い方です。デートのときなど、覚えておくと便利ですね。

Cf. 「昼食をおごるよ」⇒I’ll buy you lunch.

so badly (願望・欲求などを強調して)とても、なんとしても

感動的なラストシーンで、キャスリーンがジョーに言ったセリフです。
badlyという言葉は、決して悪い意味だけでは使わないことがわかります。「なんとしても」という切ない願望が込められています。

Joe: Don’t cry, Shopgirl.
Kathleen:I wanted it to be you so badly.
(from “You’ve Got Mail”)

(from "You've Got Mail")

最後に流れるバックグラウンドミュージック “Over the Rainbow”が、映画の結末を象徴しているようで、とても印象的でした。

Somewhere over the rainbow
Way up high
And the dreams that you dream of
Once in a lullaby
Somewhere over the rainbow
Bluebirds fly
And the dreams that you dream of
Dreams really do come true

【参考:Judy Garland sings "Over the Rainbow" from YouTube】

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