ラブコメで人気のコンビ、トム・ハンクスとメグ・ライアンの主演による、心あたたまるラブストーリーです。1993年公開。
シカゴに住む建築家のサムは、妻を亡くして失意の底に突き落とされ、悲しみを忘れるために息子のジョナとともにシアトルに移り住む。
同じ頃、ボルチモアに住むジャーナリストのアニーは、婚約者ウォルターを連れて家族に会わせて報告するが、その帰りの車の中で、ラジオをつけると、ジョナが番組ホストの精神科医に、父のことで相談しているのを聴く。番組に出たサムが亡き妻への想いを切々と語るのを聞いて、アニーは感動する。ホストの精神科医は、匿名のサムを「Sleepless in Seattle」と呼び、これからも番組に出るようにという。
サムとジョナの話はリスナーの間で評判となり、サムとジョナのもとには山のようなプロポーズの手紙が届いた。アニーもサムに好意を抱き、会社で編集者に取材を提案し、許可を得てシアトルに飛ぶ。
サムの住所を突き止め、サムの家まで行ったアニーだったが、道路を隔てて、互いに「Hello」と言うだけで帰ってしまう。サムに恋人がいると勘違いしたからだった。
ボルチモアに戻ったアニーは、再びサムに宛てて、2月14日にニューヨークのエンパイアステートビルの屋上で会いたいという手紙を出す。これを見つけたジョナは、ガールフレンドのジェシカとともに、サムには内緒で「会おう」という返事の手紙を出してしまう。
2月14日。バレンタインデーの当日、アニーはニューヨークで約束通りウォルターと会い、一緒に食事をする。けれども、ふと窓の外を見たアニーは、エンパイアストーとビルに大きなハート♥️マークが表示されているのを見て、「運命のサイン」だと感じる。アニーはサムとの約束のことを話し、「私は行かなくちゃ」といい、ウォルターも承諾する。こうして、アニーはウォルターと別れ、サムが待っているはずのエンパイアステートビルへと向かった。
エンパイアステートビルに着いてみると、エレベーターはすでに営業を終了していた。アニーは係員に映画『めぐり逢い』の話を聞かせ、係員を説得して、特別にエレベーターを出してもらうことができた。屋上に着いたものの、客はだれもいない。エレベーターに戻ろうとしたアニーは、だれかが床に置き忘れてリュックを見つけ、中を見てみた。
そこで、ちょうど忘れ物をとりに戻ったジョナと出逢い、アニーはやっとサムとジョナと言葉を交わすことができたのだった。「そろそろ行こうか」 (We'd better go)というサムの言葉にアニーは微笑んで手をつないだのだった。それは、まさに運命の出逢いの瞬間だった。
愛する妻を亡くしたサム
最初の舞台はシカゴ。建築家のサムは、愛する妻を亡くし、失意の中で仕事への気力もなくしてしまう。悲しみから立ち直るために、サムは一人息子のジョナを連れて、シアトルへ移り住むことにした。
Here. It's my shrink.
Call him
〈米俗〉精神科医、精神分析医
ウォルターと婚約したアニー
一方、ボルティモアでは、クリスマス・イブのお祝いに、ジャーナリストのアニーが恋人のウォルターを実家に連れて行き、婚約を発表する。その夜、アニーは母親から父との「運命の出会い」について聞かされる。母親は、それがまるで「マジック(魔法)」だったというのだ。
It was magic.
I knew we'd be together forever.
have a wonderful time in the …
… sack, I believe you call it.
〈米話〉ベッド、寝床
ベッドでの生活が規則正しく続くには何年もかかったわ。
We already …
私たちはもう、、、
Fine, fine. How's it working?
それは素敵ね、うまく行ってるの?
Like clockwork.
規則正しくね。
Oh, honey …
It's a sign.
おお、あなた。それはサインよ。
clockwork 時計仕掛け、(時計のような)規則正しさ
work like clockwork 〔物事が〕時計のように規則正しく進む
カーラジオでの運命の出逢い
翌日の仕事で車が必要だったアニーは、ウォルターとは別のマイカーを運転して帰ることになった。退屈しのぎにカーラジオのスイッチを入れると、シカゴのラジオ局の番組「ドクターマーシャの心のクリニックの時間」という番組が始まったところだった。今夜のテーマは「願いごとと夢」。マーシャは「クリスマス・イブの願い事は何ですか?」とリスナーに語りかける。
何度か局を変えたあと、再び同じ局にダイヤルを合わせると、ちょうどシアトルのジョナと名乗る少年との会話が始まったところだった。「ジョナ、あなたのクリスマスの願い事は?」との問いかけに、ジョナは「僕の願い事じゃなくて、パパの為の願い事。パパに新しい奥さんが必要なんだ。ママは死んで、パパは悲しんでいる。」と言うのだった。
ドクター・マーシャは、お父さんの力になれると思うからといって、ジョナにお父さん(サム)に電話口に出てもらうよう頼んだ。サムは最初面くらい、腹を立てたが、「ジョナのクリスマスの願い事だから」というマーシャの説得に折れて、マーシャとのラジオ会話に応じることになった。
マーシャの質問に答える形で、サムは1年半前に亡くした妻との思い出を語り始めた。
She made everything beautiful.
It's just tough this time of year.
- Every kid needs a mother.
- Maybe you need someone, too, just as much as Jonah does?
- (Annie answers ) Yes.
- We'll resume after these messages.
Sam and 'Jonah, don't go away.
If you've just tune in,
we're talking to Sleepless in Seattle.
We'll be right back with listener's response.
このやりとりに対するリスナーの反響はすさまじいものがあった。アニーがドライブインに立ち寄ってみると、店員の間ではこのラジオトーク番組に出演した"Sleepless In Seattle"の男の話題でもちきりだった。この男のところへ行って優しくしてあげるというのだ。ラジオでも、全国のリスナーが男性の住所を教えてほしいなどとリクエストしていた。
アニーもまた、この見知らぬ男性の亡き妻に対する愛情と妻を失った悲しみに心から同情し、心を惹かれたのだった。
サムの話題について取材することになったアニー
一人のジャーナリストとして、また個人的にもSleepless in Seattleの男性に心惹かれたアニーは、翌朝の取材会議でこの話について蕩々と話したあげく、上司で友人のベッキーからこの件について取材するよう命じられた。
アニーは婚約者のウォルターとヴァレンタインデーにニューヨークで会う約束をするが、シアトルの男性に心惹かれる自分に気づき、葛藤する。
サムは同僚から彼女をつくれ、とアドバイスを受ける。サムもその気になり、旧知のヴィクトリアをデートに誘った。ヴィクトリアはすぐに誘いに応じ、かれらは夕食を共にした。
アニーはベッキーの自宅で、取材の準備のためにシアトルのサム宛ての手紙を書いた。ちょうどベッキーと一緒に見ていたケリー・グラントとデボラ・カー主演の映画『めぐり逢い』の影響を受けて、「バレンタインデーの夕方、ニューヨークのエンパイア・ステートビルの屋上で会いたい」という内容の手紙を書くのだった。
What if this man is my destiny,
and I never meet him?
Your destiny can be your doom.
"I want to meet you …"
At the Empire State Building.
At the Empire State Building.
Sunset, Valentine's Day.
I'll be in New York with Walter.
I can squeeze it in.
I'll be in New York with Walter!
(仕事や予定を)無理に押し込む、割り込ませる
ニューヨークに向かう
アニーからの手紙を受け取ったジョナは、ヴィクトリアとのデートに出かけようとしているサムに「いい手紙だよ、読んで」とサムに言います。サムは取り合わずに出かけてしまいます。サムはジョナをヴィクトリアに引き合わせますが、ジョナはヴィクトリアが好きになれません。
その夜、サムはヴィクトリアを自宅での夕食に招待します。食事のあと、サムがデッキでヴィクトリアといちゃついているのを見たジョナは、ラジオ局に電話を入れます。番組ホストのマーシャに「いま彼らがキスをしている」と訴え、それが全国に放送されます。ベッキーから「ラジオのスイッチを入れて」と言われたアニーは、ウォルターに内緒で1階に降りて、ラジオを盗み聞きした。
翌朝、アニーはベッキーの許可を得て、サムに会いにシアトルへと出発した。シアトル空港でヴィクトリアを見送りに行ったサムは、飛行機から降りてきたアニーの姿を見て、その魅力に惹かれ、後を追うが見失ったしまった。
サムの家を訪れたアニーだったが、サムとジョナは外出したあとだった。彼らを追って自動車で海岸線へ行ったアニーは、二人が海岸で遊ぶ姿を見てうっとりした。
翌朝、再びサムの家に戻ったアニーは、道路を隔ててサムの姿を見つけ、声をかけようとした。けれども、サムが女性と一緒にいるのを見て、思いとどまった。そのとき、サムも道路の向こうにたたずむアニーを見つけ、「Hello」と言ったが、アニーはそのまま帰ってしまった。サムが会っていた女性を恋人だと勘違いしてしまったのだ。
アニーがボルティモアに戻ると、サムからの返事の手紙が届いていた。「バレンタインデーにニューヨークで会おう」という内容だった。それはジョナがサムの代わりに書いたものだった。アニーはその手紙の稚拙さに失望を隠せない。
ジョナは一人でもバレンタインデーにニューヨークへ行くことを決意し、ジェシカの助けを借りて、ニューヨーク行きの飛行機のチケットを手に入れた。
バレンタイン・デーの前日、アニーは約束通りウォルターに会いにニューヨークに行った。ウォルターへの愛を確かめるためだった。二人はティファニーのお店でおそろいの食器セットを買い、ウォルターはアニーに結婚記念の指輪を贈るのだった。
その頃、シアトルではジョナがサムとヴィクトリアとの交際について喧嘩になり、翌朝、ジョナは家出してしまう。ジョナはアニーに会うためにニューヨーク行きの飛行機に乗ったのだった。
ニューヨークに着いたジョナは、タクシーでエンパイアステートビルに向かった。ジョナは運転手に、「新しいお母さんに会うんだ」と告げて、タクシーを降りた。
ビルの最上階に着いたジョナは、一人一人に「あなたはアニーですか?」と聞いて回った。
- No, I'm Cynthia.
Excuse me, are you Annie?
その頃、エンパイアステートビルを遠くに望むレストランでは、アニーとウォルターがシャンペングラスを重ねていた。けれども、窓の外にエンパイアステートビルを見たアニーは浮かない様子。
意を決してアニーはウォルターに、シアトルの男性との待ち合わせの話を告白した。
Walter: So he could be on top of the Empire State Building now?
Annie: No. I guess he could be ... No.
It's not him. Walter. It's me.
I can't do this.
Walter: Annie, I love you.
But let's leave that out of this.
I don't want to be someone that you or anybody else settles for.
Marriage is hard enough without such low expectations.
- Isn't it?
Annie: - Walter, I don't deserve you.
Walter: No, I wouldn't put it that way.
But ... okay.
Annie: - You okay?
Walter: - Yeah.
…で我慢しておく、(不本意だが)とりあえず…で手を打つ、よしとする。
アニーは婚約指輪をウォルターに返した。ウォルターはだまってそれを受け取った。そのときだった。アニーがふと窓の外を見やると、エンパイアステートビルの外壁いっぱいに大きな赤いハートのマークが浮き出ていた。あにーは思わず、ウォルターに「これはサイン(運命の印)だわ」と言い、「行かなくちゃ」と言って席を立つのだった。
It's a sign.
Who needed a sign?
Walter, I have to go.
エンパイアステートビル屋上でのめぐり逢い
サムはジョナがニューヨークへ行ったことを知ると、すぐにあとを追って飛行機でニューヨークに飛び、タクシーでエンパイアステートビルへと向かった。
ジョナはビル屋上で何人もの女性に声をかけたが、アニーは見つからなかった。そのまま屋上に坐って、アニーを待つのだった。
やがて夜になり、サムは屋上でジョナを見つけ、抱きしめて無事を喜んだ。サムは泣きながらジョナに、「俺たちはかけがいのないファミリーなんだ。俺がおまえになにかいけないことをしたか?」と尋ねるのだった。
So far, have I done anything stupid?
- Have I screwed it up for us?
Jonah: -No
〔計画などを〕めちゃめちゃにする、台無しにする、大失敗する。
・I really screwed up! : しくじった、取り返しがつかないことをした。
タクシーが渋滞に巻き込まれたため、アニーがエンパイアステートビルに駆けつけたとき、ビルのエレベーターはすでに閉まっていた。アニーはエレベーターの管理人に「屋上で待ち合わせている人がいるの」と訴えた。管理人は「ケリーグラントの映画だね?」と言い、アニーの願いを聞き入れて、特別にエレベーターで屋上へ行くことを認めたのだった。
しかし、サムとジョナは入れ違いでエレベーターを降りてしまっていた。だれもいない屋上で、ひとり途方に暮れてたたずむアニーだった。
ふと目を落とすと、子供用のリュックが落ちていた。中をみると、犬のぬいぐるみがあった。もしや、という思いで周りを見まわすと、エレベーターの方からサムとジョナが歩み寄ってきた。二人は、忘れ物を探しに屋上に戻ったのだった。
はっとして、目と目を合わす三人。
「君だね?」It's you.
「ええ、私よ」 It's me.
Jonah: Are you Annie?
Annie: - Yes.
Sam: You're Annie?
Annie: This must be yours. このぬいぐるみはあなたのね?
Jonah: I'm Jonah.
This is my dad. His name is Sam. これは僕のパパ。名前はサムというんだ。
Annie: - Hi. Jonah. はい、ジョナ。
Sam …
And who's this? それで、この子はなんというの?
Jonah: - Howard. ハワードだよ。
Annie: Hello, Howard. よろしく、ハワード。
Sam: We'd better go. そろそろ行こうか。
Shall we? どう?
(アニーに手を差し出すサム。二人は手を握り合い、運命の相手だと確認する)
Annie: Sam … It's nice to meet you. サム、お会いできて嬉しいわ。
エンパイヤステートビル屋上でのめぐり逢い。それは奇跡のような、そして感動的な幕切れだった。