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翻訳の技術 電子辞書の活用

OneNote 翻訳術
ー電子辞書、デジタル・リソースを最大限に活かすー

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OneNoteで翻訳意欲にやっと火がついた

いまからほぼ1年前、アメリカのミシガン大学名誉教授で現在ニューヨーク市立大学教授をされているRussell Neuman氏(政治学、コミュニケーション論が専門)から突然こんなメールをいただきました。

I understand you are now an professor emeritus of Sociology at Toyo. Because you were so helpful in helping to arrange for a Japanese language publication of my previous work I thought I would contact you again about my new book, The Digital Difference: Media Technology and the Theory of Communication Effects. In many ways it is a continuation of the previous work in scope and style.

 

最近、新著を出したので、よかったら翻訳してくれる方を紹介してくださるか、またはおまえ自身が翻訳してくれないか、との打診メールです。添付で原著(約300ページ)全文のPDFファイルがつけられていました。

この方の著書は以前翻訳したことがあり、新著はその続編だということなので、翻訳を引き受けてもいいかなと思い、その旨返信しましたが、私自身、退職してからは、子育てやらボランティア活動やらで忙しく、また翻訳を引き受けてくれそうな出版社の当てもなく、そのままほったらかしにしていました。

けれども、最近になってようやく、引っ越し先での仕事やら雑用やらもなんとか軌道に乗ってきたこともあり、久しぶりに研究意欲がわいてきました。そのきっかけを与えてくれたのは、OneNoteの本格的な導入でした。

ただのPCソフト一本で研究意欲がわくというのも、おかしな本末転倒な話だと思われるかもしれませんが、私は昔からそういう性格なのだから仕方がありません。スランプに陥るたびに、PCとかOSなどを変えて、克服してきたものです。今回も、OneNoteを活用すれば、あの単調で苦痛に満ち、非生産的な「翻訳」という仕事も楽しいものになるのではないか、というインスピレーションを与えられたのでした。また、1冊の専門書を翻訳することで、以前のような研究者としての生活に戻れるような気持ちにもなったのです。

翻訳に必要な電子辞書を揃える

難解な小説や哲学書ならともかく、私自身の専門領域に関する英語の書籍を翻訳する場合には、英和辞典や英英辞典は、『ランダムハウス英和大辞典』があれば十分です。むしろ、著者がしばしば使う特殊な英語表現の意味を解釈するには、英語版のWikipediaや英語のウェブサイトでGoogle検索する方がはるかに役に立つことが多いのです。私が前著を翻訳したのは2002年で、当時はまだWikipediaの英語版はあまり充実したコンテンツを含んでいなかったので、難しい英語表現をWikipediaで調べてみようという発想はありませんでした。けれども、今では英語版のWikipediaで引けば、わざわざ著者に問い合わせなくても大体分かるところまでに進化しています。また、WEBLIoや英辞郎などのオンライン英和辞典も無料で手に入るようになりました。

セイコー撤退の衝撃

それでも、英和大辞典、英英辞典、類語辞典(シソーラス)、和英辞典などは少しでも多くあった方がいいのも確かです。最近、息子が大学受験英語の勉強のために電子辞書がほしいというので、どんな電子辞書がいちばんいいか調べてみました。妻が日頃から絶大な信頼を置いている竹岡弘信・安河内哲也さんの『この英語本がすごい!』でおすすめの電子辞書がいいはずだというので、読んでみたら、安河内さんのNo.1おすすめ辞書は『電子辞書 SII SR-G7001M』(セイコーインスツル 定価37800円)、竹岡さんのNo.2おすすめ辞書は『電子辞書 SII SR-G10001』(セイコーインスツル 定価69800円)でした。

ところが、ネットで調べたところ、セイコーインスツルは、なんと2015年に電子辞書ビジネスから撤退し、現在では中古品しか手に入らないことがわかりました。SIIでは、撤退の理由を次のように述べています。

 セイコーインスツル株式会社(略称:SII、社長:村上 斉、本社:千葉県千葉市)は、2015年3月末をもちまして、電子辞書ビジネスから撤退することといたしましたのでお知らせいたします。

 当社は、1987年より電子辞書ビジネスを開始。1992年には、業界で初めて英和・和英中辞典の文字情報を全て収録したフルコンテンツタイプの電子辞書「TR700」を発売し、紙の辞書と同じ内容をキーボードからすばやく検索するという新たな価値を提供してまいりました。その後も学生、ビジネスマン、医療関係者など、それぞれのニーズにあった電子辞書を発売し、ビジネス実務や語学学習をサポートしてまいりました。

 しかしながら市場の成熟に伴い、電子辞書市場が縮小していることや、スマートフォン、タブレットなどスマートデバイスの普及により、電子辞書の需要の伸びが期待できないことなどから、2015年3月31日をもって、製造、販売を終了することにいたしました。

(セイコーインスツル株式会社ホームページより)

これは驚きのニュースでした。セイコーの電子辞書は医療関係者など専門家からとくに高く評価されており、PCとの連携面でも他社にない高い機能性を持っていたからです。実際、アマゾンなどでみると、SIIの高性能電子辞書は、中古品で15万円以上の価格をつけており、とても手が出るようなものではありません。メルカリでも、英語に特化した高性能辞書はほとんどが売り切れか5万円以上の値がついています。さらに調べてみると、肝心のWindows10へのコンテンツ取り込みについては、メーカーの保証がなくなっていることもわかりました。

カシオとシャープの電子辞書、どちらがいいか?

となると、現在高性能の電子辞書を販売しているメーカーは、カシオとシャープの2社のみということになります。この2つの中から最善の英語学習向け電子辞書を選ばざるを得ません。この2社の電子辞書は、いずれもWiFiを内蔵せず、PCとの連携機能も「著作権上の問題」を理由に提供していません。かつてセイコーが提供していたし、現在ではスマホの電子辞書アプリでは提供しているのに、単体の電子辞書にはできないとはおかしな話ですが、そういう対応なら仕方がありません。収録辞書数が多い割に低廉な価格なので、とりあえず大学受験英語用に最適の電子辞書を息子のために選ぶことにしました。

両社のホームページやレビューサイトなどの情報を調べた結果、シャープならPW-SS6、カシオならXD-SR9800がいちばん良さそうだとの結論に達しました(いずれも2019年発売の最新モデル)。英語辞書のコンテンツを比較すると、下の表のようになっています。

カシオ
XD-SR9800
シャープ
PW-SS6
英和・和英辞典 研究社 新編 英和活用大辞典
研究社 新英和大辞典
大修館書店 ジーニアス英和大辞典
研究社 リーダーズ英和辞典 第3版
研究社 リーダーズ・プラス
大修館書店 ジーニアス英和辞典 第5版
旺文社 オーレックス英和辞典 第2版
旺文社 オーレックス和英辞典 第2版
三省堂 ウィズダム英和辞典 第3版
三省堂 ウィズダム和英辞典 第2版
三省堂 カタカナで引ける英和辞典
英英辞典 ロングマン 現代英英辞典 6訂版
ロングマン 連語類語辞典
ロングマン 英語アクティベータ
オックスフォード現代英英辞典 第9版
オックスフォード新英英辞典 改訂2版
和英大辞典 研究社 新和英大辞典 第5版
大修館書店 ジーニアス和英辞典 第3版
類語辞典など オックスフォード類語辞典 第2版
オックスフォード連語辞典
オックスフォード例文辞典

このように比較してみると、収録辞典数はほぼ同じですが、カシオは研究社の英和、和英大辞典を収録しているのに対し、シャープはオーレックス英和、和英辞典、ウィズダム英和、和英辞典を収録しています。先述した竹岡・安河内著『この英語本がすごい!』では、「ウィズダム」と「オーレックス」が必須の英語辞典として推奨されていることからすると、受験英語用には、カシオのモデルよりもシャープのモデルのほうがよさそうです。というわけで、息子にはシャープの最新英語特化電子辞書「PW-SS6」を買い与えることにしました。

私はといえば、翻訳用に「ランダムハウス英和大辞典」「新英和大辞典」とか「広辞苑」「日本国語大辞典」などが是非とも必要だと思い、PCやタブレット用の辞書アプリがないか探してみました。しかし、いずれもが1つが1万円レベルと法外な価格でとても手が出ません。そこで、カシオとシャープの電子辞書を改めて調べてみたところ、カシオが専門家向けの最上位モデルXD-SR20000を発売しており、このモデルは『ランダムハウス英和大辞典』『英和活用大辞典』『新英和大辞典』『広辞苑』『日本国語大辞典』など、翻訳に必要な辞典類をほぼ網羅していることがわかりました。要するに、新品のプロ向け電子辞書は、このモデル一択のようです。そこで、現在、この電子辞書を注文することにしました。

注意ポイント

カシオのプロフェッショナル・モデルは、2018年型、2017年型も発売されており、コンテンツ的にはほとんど変わらず、定価は2019年型よりも安くなっている。けれども、2019年型から画面の文字フォントが際立ってなめらかになっており、文字の見やすさが大幅に向上している。したがって、購入を検討される方には、XD-SR20000をおすすめしたいと思う。

XD-SR20000 | 生活・ビジネス | 電子辞書 | CASIO
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カシオの電子辞書XD-SR20000の製品ページです。研究、翻訳、専門学習などのハイレベルなニーズに対応。幅広い知識、情報を求める方向けのプロフェッショナルモデルです。

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